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色彩

子供の頃から画材が好きで、きれいな色の鉛筆やクレヨン、パステル、インクがあると買わずにいられない。大きな文房具屋にうっかり足を踏み入れてしまった日には、一日出てこれなくなってしまう。そんなわけで、外国に旅行しても、画材屋の前を通ると素通りできない。それで隅からすみまで見て回ったあと、結局12色入りの色鉛筆を買って帰ったりする。色鉛筆はそうやって手元に集まったものが200本ぐらいはあるけれど、一つとして同じ色がない。12色と限定された色の中に、その国の歴史と自然が反映されているのが面白い。

言葉で書けば「青」という色も、日本の青は太平洋の青に似ている。イタリアの青は 地中海の青。少し緑ががって見える。日本の「水色」はどういうわけか、水の色よりも、冬の晴れた空を思い起こさせる。イタリアではそれに近い色を「天の色」と呼ぶ。教会のフレスコ画に描かれた天国の色だ。「灰色」は日本の街の風景にはかかせない。電信柱、高層ビル、冬の富士。イタリアのグレーにはつやがある。歴史に磨かれた石畳の色、ひんやりした教会の柱。「赤」も違う。日本の赤は明るい。幼子の赤。お祝いの赤。イタリアの赤はもう少し暗い。血の赤。大人の赤。実は「黒」も違う。石の黒、鉄の黒、陰の黒、闇の黒。青かったり、赤かったり。濡れていたり、乾いていたり。

ヨーロッパの生活の中に、いくつか忘れられない景色がある。西日に輝く収穫前の麦畑は一面ゴッホの黄色だった。ある冬の薄曇りの日に見た田園風景は影を欠いたブリューゲルの絵画のようだった。絵の中だけの色彩だと思っていたけれど、こういう現実もあったんだと驚いた。世界中どこに行っても子供が使う12色入りの色鉛筆はあって、たぶんみんな色が違う。その数だけ世界がある。

#色彩

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